シーソーゲーム 1 類つく
あたしを呼ぶ婆やの声がする。
「ふわぁ~」
五月蠅くってかなわないなぁーと思いながら、屋根裏部屋で昼寝する。
今日はあたしの16歳の誕生日。
なんでもお爺様からあたしに、話があるらしく...
朝から邸の中が忙しい...
あぁ~面倒だったらありゃしない。
トントントントン 階段を登る音がする。
「あっ、やっぱりこんな所にいらしゃったんですね」
女中頭の千恵子がやってくる。
「えへっ、バレちゃった?」
「えへっじゃありません。」
笑いながらも、千恵子があたしを急き立てる。
「ねぇー 今日はお父様、お母様もいらっしゃるの?」
「左様に伺っておりますが…」
忙しい2人が揃って出席なんて槍でも降るんじゃないなんて、暢気に考えていた。
「進はもう帰ってきたの?」
「えぇ、もうお帰りになって、とっくにご準備終えられております。お嬢様もお早くご用意して下さいませ。」
「は~い」
部屋に戻ると、ちょっぴり怖い顔をした婆やが待ち構えていて...
踵を返そうと思うと、後ろには千恵子...
ひゃっー 婆やのお小言? なんて思っていたら
「お嬢様、うぅー」
なんて涙ぐむからビックリして、
「ゴメンね、婆や。ちゃんとお支度しますから泣き止んで頂戴。」
「うぅぅーー お嬢様」
後ろからも、千恵子の泣き声がする。
お仕事で忙しいお母様の代わりに、あたしが生まれた時から、慈しみ愛してくれる婆やと千恵子。
「もう2人とも泣き止んで頂戴。明日からきちんとお稽古もするって約束するからねっ。ねっ」
二人は、あたしに晴れ着を着せて行く。
「お嬢様お綺麗でいらっしゃいます。」
婆やの言葉に微笑みを返し
「流石,馬子にも衣装」
千恵子をジロリと睨むと、慌てて
「いえいえ,流石お嬢様お綺麗でございますよ。」
婆やと千恵子とあたしの3人で大笑いする。
「さっ、さっ 皆様がお待ちかねでございます。」
「柊(シュウ)様もいらしゃってますから。」
「柊兄ぃも来てるの? へぇー珍しい。」
柊兄ぃは、あたしより3つ上のコロンビア大学に通う一之宮財閥の次期当主だ。
大広間には、お爺様、お婆様、両親に、進、伯父様や伯母様、一之宮家の人々までが勢揃いしていた。
お爺様があたしを見て
「おぉー、つくし綺麗じゃ綺麗じゃ」
大仰に褒め称える。
堅苦しい事が嫌いなあたしは、所作に五月蝿いお爺様がちょっと苦手なのだけど‥…如月(きさらぎ)家のたった一人の女孫のあたしを、お爺様はこよなく愛して下さる。
コホンッ お爺様の咳払いで、邸の中に緊張が走る。
「つくし、16才のお誕生日おめでとう」
お爺様の言葉を皮切りに皆がお祝いの言葉を口にする。
「さて、今日は如月家の風習に従って、つくしに2つ話しがある。」
そう言って、お爺様が話し出したのは‥…
一つ目が、如月の娘と言う事を二十歳の誕生日まで隠して生活する。
二つ目が、それまでに結婚相手を見つける事。見つからない場合は、柊兄ぃが結婚相手になる。
柊兄ぃが、声を出さずに「よ・ろ・し・く・ね」とニヤリと笑う。
ダメ、ダメ、ダメ 柊兄ぃと結婚なんて‥‥
確かに確かに、柊兄ぃは、眉目秀麗、頭脳明晰、家柄抜群の3拍子も4拍子も揃ったいい男だけど‥…完璧過ぎる、柊兄ぃと結婚なんてしたら、あたしのお昼寝人生に終止符を打たなきゃイケナイ。そんな事、断固として許してはいけない。
それにしても、青天の霹靂とは‥…こんな事を言うのかとあたしは考えていた。
でも、ちょっと待って? もしかしてもしかして、あたし大手を振って自由の身って奴じゃないの?
お供として、進も一緒だって言うしね。クッハァ〜 それってさぁ〜案外楽しいんじゃないの。あたしの瞳はキランっと輝いた。
かくして、あたしは、高校一年生の3学期から、千恵子と千恵子の夫、如月家の執事でもある晴夫の娘の【牧野つくし】として英徳学園に通うようになったのだ。
それが、まさかあたしの人生の波乱の幕開けになるなんて思いもせずに‥…
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12345の時にリクエストを頂いた
パラレルワールドのお話になります。
つくしが、実はお嬢様で実家の都合で二十歳まで内緒。F4争奪戦での受けはF2のうちのどちらかのリクエスト‥…
パラレルワールドかぁー どうしたもんかと悩んで悩んで、シーソーゲームの題名で、これこれこれが良いんじゃないの〜と、書き始める事となりました。本当はシーソーゲーム、次回のLSに使おうと思っていて、ひとり言でも書いていた題名なんです。でも絶対にコッチのほうが話しが湧いてくるし、似合ってる って事で シーソーゲーム の始まり始まりです。さてさてどうなります事やら。