シーソーゲーム 17
「誰って、佐助さんよ。兵藤佐助。つくしちゃんにも前に紹介したでわよね?」
「佐助さん?」
「そう佐助さん」
「あっ、おめでとうごございます」
「うふっありがとう ‥‥でね、佐助さんたらね‥」
静ちゃんが、一人色ボケ状態で、蕩けそうに幸な顔をして嬉しそうに話してる。
静ちゃんの相手を聞いて、心の底から、安堵するあたしが居た。
次の瞬間‥ あたしは狼狽える。
ビー玉んの顔が浮かんだから‥‥
あたしは、気がついてなかった。自分の中の醜い気持ちに‥
幸せな恋は、人を美しく輝かせるけど‥
片恋は、時に、人を醜い気持ちにさせるんだって事に。
扉がノックされ、エッちゃんから声がかかる
「柊坊っちゃま、静様、つくし様、お食事のご用意が整いまいた」
一之宮のシェフの作るお料理は、どれもこれも絶品で、舌鼓を打つ。
「うーーん。美味しい」
柊兄ぃが、いつもと同じように、優しく微笑んでいる。
意地悪で、怖い柊兄ぃは、鳴りを潜めている。
3人3様の思いを心に抱き、夜は更けていく。
「つくし様。また絶対にいらしゃって下さいまっせ」
エッちゃん達に見送られ、帰途につく。
***
柊兄ぃは、あの翌日から一之宮の仕事が忙しくなって、顔を出せない状態で、あたしは安堵した。
恙無く日々は、過ぎて行く。
日課の如く‥道明寺が迎えに来て‥
がっつり朝寝を楽しんで学校に向かう
いつの間にか、増えていた事は‥薔薇男こと美作さんに、ダンスを習う事だった。
ビー玉んと、非常階段ですれ違って、一言二言、言葉を交わす。
「牧野、今日のお弁当は?」
「っん?イワシの蒲焼き」
「イワシ?」
知らない内に、あたしはこの時間を、この一瞬を、
お昼寝以上に楽しみにしていた。
ビー玉色の瞳に見惚れてる自分にも、
会話をなによりも楽しみにしている自分にも、あたしは全く気がついてなかった
世間では、それを恋と呼ぶ事も‥‥
この時のあたしは、知らなかった。
そんなある日、ラウンジに静ちゃんがやってきて
F4とあたしに 招待状をくれた。
「兵藤佐助さんと、婚約になったの。皆で来てね」
ガタンッ椅子が倒れる。
その言葉に、ビー玉んが‥花沢類が
どれくらい傷つくなんてなんて、想像もしなかった
花沢類の美しい瞳が、哀しみの色に染まっていた。
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