シーソーゲーム 19
思いを‥あの時代に馳せる。
色々な事に子供だったあの時代。
あたしは、知らなかった‥色々な思惑を。
あたしは、気づいていなかった‥柊兄ぃの思いを。
あたしは、気がつかないふりをした‥自分の思いを。
如月の人間としての自覚が足りなかったのかもしれない。
お稽古事一つとて、16のあの日迄、
武道以外、何一つ身につけていたものなど、なかったのだから。
お茶に、お花に、書道に、舞踊、お琴に、ピアノに、ダンス‥‥
全て、押し付けられている。そう思っていた。
本当は、違ったのに‥
如月つくし あたしは、あたしの人生が嫌いだったんだ。
窮屈な人生が。
だから、お昼寝にこだわったのかもしれない‥
16の年、牧野つくしを生きてみて、楽しかったんだ。
お茶も、ダンスも初めて楽しいと思ったんだもんね。
「つくしお嬢様ー」
千恵子が、あたしを呼んでいる。
千恵子は、あたしのお嫁入りには付いてこない。
あの人と共に、生きる事を選んだあたしは、
寂しいけど、大人になる決意をしたんだ
もうじき、彼がくる。
今日は何を持ってきてくれるかな?
井村屋のあんぱん? パーラーのチョコレート?
あははっ、相変わらずなのかもしれない。
だけど、今のあたしは、
如月つくし を一生懸命生きている。
まぁ、相変わらずお昼寝は好きだけど
お昼寝が無くても、彼が居れば生きて行けると思ってる。
多分。きっと。
彼に言ったら‥
「うーーん」
って、首を振るかな?
あどで、聞いてみよう。
「はーーい」
あたしは、千恵子に返事した。
***
あの涙を流した日から、あきら君とは仲良しさんになった。
あきら君は、いつも優しく、あたしの思いと付き合ってくれる。
道明寺は、俺様だけど‥思いのほかに優しくて、
毎朝のお昼寝タイムにも嫌な顔せず付き合ってくれる。
総ちゃん(いつの間にかこんな風に呼ぶようになっていた)には
家元夫人がお忙しい時にお稽古をつけてもらうよになっったのだけど、
流石、若‥‥様だ。
花沢類は‥‥学校に出てこなくなって1月だ。お手紙を毎日書いて渡しに行っている。
お手伝いさんの佳代さんとは、すっかり仲良くなった。
花沢類には、会えないけれど‥
柊兄ぃは、なしのつぶてで、音沙汰がない。
こんなに長い事音沙汰がないなんて?どうしたのだろう?
気になったけれど‥
あの日の 柊兄ぃが怖くて、そのままの状態が続いていた。
静かに静かに、ゴングが鳴っていたのを
この時のあたしは、まだ知らない。
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