シーソーゲーム 24
静ちゃんが、あたしと柊兄ぃを見てニッコリと微笑む。
静ちゃん、ちょっと会わない内に、ますます綺麗になった。
百人いたら百人がそう言うような、笑顔で手を振っている。
隣の男性が、艶やに微笑み、あたし達を出迎える。
「柊、元気? と、つくしちゃんだよね?」
「今日は、態々お時間を作って頂いて有り難うございます。如月つくしです」
「婚約する前に静と柊の2人が、ご執心のお嬢ちゃんにお会いしてみたかったから嬉しいよ」
佐助さんが、優しく優しく微笑む。
邪気のない笑顔‥‥この男性は、なんて素敵に笑うんだろう。
静ちゃんをチラッと見れば、静ちゃんも、あたしの見た事の無い様な、幸せそうな顔で微笑んでいる。
2人で目を見合わせる姿は、まるで一対の絵画のように美しい。
「つくしちゃんの、たっての頼みって?」
佐助さんが、あたしに優しく聞いてくれる。
ギュッと、両手を握りしめる。
「佐助さん‥‥お願いです‥静ちゃんと別れて下さい」
「っん?どういう事?」
佐助さんが驚いた顔で、あたしと静ちゃんを交互に見る。
あたしは、佐助さんにもう一度懇願する。
「お願いです‥婚約はしないで下さい」
「な、な、何を言ってるの? ねぇ、つくしちゃん‥」
静ちゃんが、あたしを揺さぶった‥‥
「‥‥静ちゃん‥お願い‥お願い‥花沢類を、花沢類を、捨てないであげて‥‥愛してあげて‥」
言葉に出した瞬間———
涙が止めなく溢れる‥‥
静寂の中、あたしの声と嗚咽が響き渡る。
静ちゃんが、あたしを抱きしめて
「つくしちゃんと2人にして貰ってもいいかしら?」
柊兄ぃと、佐助さんを部屋から出した。
2人きりになった静ちゃんが、凛としてあたしに言った
「つくしちゃん‥あのね‥大好きなつくしちゃんのお願いでも、如月家の命令でも‥‥それは聞けない」
真っすぐにあたしを見て、そう言った。
「花沢類は?花沢類はどうなるの?」
「類?類は、私にとって弟みたいなものよ‥つくしちゃんと一緒。
可愛いあたしの弟‥類にとっても、私は姉のような存在だと思うわ」
あたしは、首を振る。
「花沢類は、静ちゃんが好きなの‥静ちゃんが佐助さんと結婚したら‥壊れてしまう‥」
「つくしちゃんは、類が好きなのね‥」
静ちゃんが、背中をトントンしながらあたしを抱きしめてくれた。
あたしの涙が落ち着いた頃、新しくお茶を淹れながら
「つくしちゃん、だったら解るよね?私が佐助サンとは別れられないって」
「静ちゃんと、佐助さん‥凄くお似合いだった‥それなのに‥‥ごめんなさい‥」
「いいのよ」
静ちゃんは、優しく微笑んで、そう言ってくれた。
よくよく考えれば解る事だった。
誰かに頼まれて、人を好きになれるものじゃないって。
花沢類の哀しそうな顔が見たくなくて、笑った顔が見たくて
あたしは、一人で突っ走ってしまったんだ。
大きな大きな代償を払って‥‥
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
- 関連記事
-
- シーソーゲーム 27
- シーソーゲーム 26
- シーソーゲーム 25
- シーソーゲーム 24
- シーソーゲーム 23
- シーソーゲーム 22
- シーソーゲーム 21