修羅 3 総つく
メープルのバーで俺はあきらと会った。
「よっ 元気だったか?」
「あぁー あきらは元気そうだな。いつこっちに帰って来たんだ?」
「先週だ。司も帰って来てんぞ」
「司‥…いつ帰って来てる」
「っん? 水曜だったかな?日本支社長になる準備らしいぜ‥‥」
「‥そうか。」
「類もそろそろ帰ってくる頃だろうよ‥…」
「久しぶりに、今度4人で飲もうぜ」
「司が来るか?来ないんじゃねぇのか?」
「まっ、声かけてみるよ」
女に会えない日は、女の面影を探して俺は彷徨う
別の女を抱く、欲望は満たされずに深い闇に落ちていく
あいつの代わりを求めても、虚しさが募るだけ‥…
それでも俺の修羅を追い出すために俺は別の女を抱く
あいつの代わりに‥…
代わりなんていないって解っていても
違う所で飲み直すかと‥…バーを出ようとした瞬間
「おぉー あきらに総二郎じゃねぇか」
声がして、振り向くと‥…女をは侍らした司が居た。
「おぉー いまお前の噂してたとこだよ」
「司‥元気だったか?」
「あぁ‥総二郎、あきら 久しぶりだな」
「今度、類も誘って4人で飲もうや‥連絡入れっから」
丁度その時、類と女が前から歩いてきた‥…
「類‥…?」
「あぁー アレ? 3人でどうしたの?」
類のつれの女はどこか気まずそうに佇んでいる。
「お前こそ、どうしたんだよ?いつ帰って来たんだ?」
「さっき着いたとこ。」
「って、類、後ろの女‥もしかして牧野か?」
「もしかしなくても牧野だよ。」
「って、お前ら今でも会ってんのかよ?」
「うん。今日も空港まで迎えに来てもらったところ。」
「そ、そ、そうか‥」
「久しぶりだな牧野」
「美作さん お久しぶり。ご無沙汰してます。」
女が答える。お前の用って類に会う事だったのか?
俺は愕然となる‥
愛されなくても、身体だけでも
誰よりも近くにいたと思ったのはやはり幻想だったのかと‥‥
いつの間にか‥…司は侍らしていた女達を帰していた。
「折角だから、皆で飲もうぜ‥牧野も来んだろう?」
「‥…」
司が有無を言わせない勢いで女を誘っている。
いつの間にか、俺等5人でメープルのスウィートで飲む事に話しが落ち着いていた。
俺は、女と目を合わす事が出来ない。女も俺と目を合わせねぇ。
いつもなら、お互いを貪り合う日曜の深夜、なぜか5人で気まずい酒を飲んでいる。
女は何を思い何を考えているのだろう?
類とはどういう関係なんだろうか?
司の事はどう思ってんだろうか?
女に執着などした事がない俺の頭の中は、この女の事でいっぱいになる。
あきらが盛んに牧野に質問攻めにしている
「牧野、今どこ住んでんの?今なにやってんの?」
「あは 住まいは六本木。滋さんと桜子と3人でアパレルの仕事してるの‥美作さんの所とも取引ある筈だよ。」
「へぇーー 類とはどうなってんの?」
「類?久しぶりに帰国するっていうから空港迄迎えに行ったのよ。って、さっき類から聞いたでしょ?」
「そうじゃなくて‥…」
「あはっ、そう言う事? 類とはずっと友達で、取引相手でもあるかな?」
俺の知らない女の日常を聞く。
俺は女が離れていくのが怖くて、この3年女になにも聞いてこなかった。
「あきら質問攻めは終わった? そろそろ牧野解放してよー」
「あぁ‥」
「類、あたし明日も仕事だからそろそろ帰ってもいいかな?」
女が踵を返そうとした瞬間。
「牧野、まだ居ろ‥」
司が女に声をかける
「クスッ 道明寺‥ 相変わらず強引なんだね。」
「‥…でもそうだね。みんなと久しぶりだもんね」
「‥ご無沙汰してます。道明寺日本支社長。この度はご就任おめでとうございます。」
「あぁ。お前も元気でやってたか?滋んとこで働いてるっていつからだ?滋そんな事一言も言ってなかったぜ‥」
「もう4年になるかな?あたしは普段表には出ないからね‥」
「4年っていいや、滋と桜子でアパレル立ち上げた頃か。誰かやり手がついてるって噂になってたけど、お前だったんだな」
「あはっ、やり手って‥それじゃやり手ばばぁみたいじゃん。」
クスクス笑う女‥
「あはっ、じゃーこの機会に、メープルでも取り扱って貰おうかしら?」
「構わないぜ。明日電話っすから。名刺渡しとけ。あっ、交渉はお前がしろよな」
「冗談だよ。冗談‥」
「ビジネスだろ。チャンスは掴めや‥」
険しかった司の表情が、だんだんと和らいでいくのが解る‥
司は必ずもう一度、牧野を手に入れようとすんだろう。
女は、もう一度司を受け入れるのか?
誰か俺の心の炎を消してくれ‥
俺の修羅を止めてくれ‥
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