修羅 4 総つく
久しぶりに聞いたあいつの声。
久しぶりに嗅いだあいつの匂い。
何年ぶりの会話だろう?
大学2年の冬にあいつと別れ、気が付けばもう8年か
中途半端に終わった恋は、あたしの何かを奪っていった。
あんなに激しく愛した筈なのに、恋の終わりはあっけなくて‥
なのに、残したものは大きな哀しみで‥…
必死にもがけばもがくほど、あたしの心は行き場を失い彷徨い続けた。
失った恋は、あたしの中でずっと燻り続け、見えない刃となってあたしの心を傷つけ続けた。
だから、あいつを忘れるために、あたしは全てを断ち切った。
あいつをただただ愛してきた初心(うぶ)だった、あたしさえも断ち切った。
あいつを忘れる為に、沢山の恋をした。軽く甘い恋をした。
身体を渡しても心は渡さない。それがあたしの恋のルール。
抱かれる度に心は冷めていき、抱かれる度に別れが近づくような恋をした。
男があたしに縋る姿が滑稽で‥哀れで‥…
それがあたしの姿を見ているようで‥…その姿を愛おしく感じるような
そんな不毛な恋を繰り返した。
少しだけ落ち着いた4年前、滋さんと桜子と一緒に会社を立ち上げたんだよね。
あいつを忘れる為の情熱を仕事に打ち込んだ。
仕事は裏切らない。確実にあたしの注ぎ込んだものを返してくれる。
あたしの渇きを癒してくれる。
男達は、相変わらずあたしを手に入れた気になって‥…
それが滑稽で‥…哀しくて
誰かにあたしの修羅を止めて欲しくてもがいてた。
総、あなたと再会したのはそんな時だったんだよ。
***
俺の目の前で司と語らい、妖艶な笑みを見せる女。
お前は誰なんだ?
俺の知ってる女なのか?
それともお前は俺の知らない別の女なのか?
酒を呷る俺に
「総二郎って、牧野と付きあいあるの?」
「‥…」
「ふうーん 黙ってるのが答えなんだ? 総二郎って案外意気地なしだったんだね」
「類には関係ねぇだろうよー」
「っん? 確かにそうかもね。でもさぁーこのままだと司とまたくっ付いちゃうかもよ?」
「‥…」
言いたい事言い放ち‥…おもむろに立ち上がり
「俺眠くなったから帰るけど牧野どうする?」
「あっ、じゃぁあたしも帰る。類、悪いけど途中迄乗っけていってくれる?」
「うーん。ゴメンもう限界。六本木なら総二郎のマンションの通り道でしょ?総二郎に送ってもらってよ。いいよね総二郎?」
「あぁー送っていくよ。司、あきら俺牧野を送ってくわぁー」
司が何か言いたげに俺を見ていた‥…
「牧野、じゃ社の方で待ってんからなっ」
「うん。じゃぁ‥連絡入れさせて頂きます。」
司とあきらを残し、3人で部屋を出た。
***
「じゃぁね牧野。今日は迎えに来てくれてありがとうね。また連絡するね」
「うん。類おやすみなさい」
つくしのおでこに軽くキスをして去っていった類。
‥…取り残された俺等2人。
気まずい中、口火を切ったのは女だった。
「まさか皆が勢揃いするなんて思わなかった。ビックリしたね。」
クスリと、笑いながら話す女。
迎えの車はまだ来ない‥…
「つくし‥オレたまってんだ‥おめぇとしたい。どうにかしてくれ」
心とは裏腹に、欲望だけをぶつけていた。
「あはっ、いいよ。いつもの所?それとも総の部屋?」
女は事も無げに答える
***
目の前の美しい男があたしを欲望の夜に誘う。
あたしの身体は、総の魅力には抗えない。
あたしは総への劣情を隠し
軽い口ぶりで誘いにOKの返事を出す‥…
総 お願いあたしの修羅を消して‥
修羅 不定期連載中 次はRかな(?)
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♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
久しぶりに嗅いだあいつの匂い。
何年ぶりの会話だろう?
大学2年の冬にあいつと別れ、気が付けばもう8年か
中途半端に終わった恋は、あたしの何かを奪っていった。
あんなに激しく愛した筈なのに、恋の終わりはあっけなくて‥
なのに、残したものは大きな哀しみで‥…
必死にもがけばもがくほど、あたしの心は行き場を失い彷徨い続けた。
失った恋は、あたしの中でずっと燻り続け、見えない刃となってあたしの心を傷つけ続けた。
だから、あいつを忘れるために、あたしは全てを断ち切った。
あいつをただただ愛してきた初心(うぶ)だった、あたしさえも断ち切った。
あいつを忘れる為に、沢山の恋をした。軽く甘い恋をした。
身体を渡しても心は渡さない。それがあたしの恋のルール。
抱かれる度に心は冷めていき、抱かれる度に別れが近づくような恋をした。
男があたしに縋る姿が滑稽で‥哀れで‥…
それがあたしの姿を見ているようで‥…その姿を愛おしく感じるような
そんな不毛な恋を繰り返した。
少しだけ落ち着いた4年前、滋さんと桜子と一緒に会社を立ち上げたんだよね。
あいつを忘れる為の情熱を仕事に打ち込んだ。
仕事は裏切らない。確実にあたしの注ぎ込んだものを返してくれる。
あたしの渇きを癒してくれる。
男達は、相変わらずあたしを手に入れた気になって‥…
それが滑稽で‥…哀しくて
誰かにあたしの修羅を止めて欲しくてもがいてた。
総、あなたと再会したのはそんな時だったんだよ。
***
俺の目の前で司と語らい、妖艶な笑みを見せる女。
お前は誰なんだ?
俺の知ってる女なのか?
それともお前は俺の知らない別の女なのか?
酒を呷る俺に
「総二郎って、牧野と付きあいあるの?」
「‥…」
「ふうーん 黙ってるのが答えなんだ? 総二郎って案外意気地なしだったんだね」
「類には関係ねぇだろうよー」
「っん? 確かにそうかもね。でもさぁーこのままだと司とまたくっ付いちゃうかもよ?」
「‥…」
言いたい事言い放ち‥…おもむろに立ち上がり
「俺眠くなったから帰るけど牧野どうする?」
「あっ、じゃぁあたしも帰る。類、悪いけど途中迄乗っけていってくれる?」
「うーん。ゴメンもう限界。六本木なら総二郎のマンションの通り道でしょ?総二郎に送ってもらってよ。いいよね総二郎?」
「あぁー送っていくよ。司、あきら俺牧野を送ってくわぁー」
司が何か言いたげに俺を見ていた‥…
「牧野、じゃ社の方で待ってんからなっ」
「うん。じゃぁ‥連絡入れさせて頂きます。」
司とあきらを残し、3人で部屋を出た。
***
「じゃぁね牧野。今日は迎えに来てくれてありがとうね。また連絡するね」
「うん。類おやすみなさい」
つくしのおでこに軽くキスをして去っていった類。
‥…取り残された俺等2人。
気まずい中、口火を切ったのは女だった。
「まさか皆が勢揃いするなんて思わなかった。ビックリしたね。」
クスリと、笑いながら話す女。
迎えの車はまだ来ない‥…
「つくし‥オレたまってんだ‥おめぇとしたい。どうにかしてくれ」
心とは裏腹に、欲望だけをぶつけていた。
「あはっ、いいよ。いつもの所?それとも総の部屋?」
女は事も無げに答える
***
目の前の美しい男があたしを欲望の夜に誘う。
あたしの身体は、総の魅力には抗えない。
あたしは総への劣情を隠し
軽い口ぶりで誘いにOKの返事を出す‥…
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