バカ言ってるんじゃない 04 司つく

サルの話題が朝っぱらから出るとは‥
チッ　油断してた‥

ってか、サルと俺が婚約してたって事までコイツは知ってんのか？
だとしたら‥俺が俺様が、DMJの跡取りだって解っても良さそうなんもんだが？
うーーーん‥‥コイツの考えてる事は、皆目見当がつかねぇ。

それにしても‥得意気な顔しやがって。
気持ち良さそうに背伸びまでしてやがる。

ぼぉーっとしてる間に、牧野が先に行っている。あいつ‥ちっとは気を利かせて、待ってるとかねぇのか？
ねぇだろうな‥‥

サルも中々の傍若無人ぶりだったが‥コイツよりはマシだった。

ホラッ、偉そうに顎をしゃくって挨拶を返せと強制してやがる。
変な約束すんじゃなかったよなぁー　
クゥッーーー　これまた後悔だ。

俺は渋々、牧野の友達とやらに挨拶をして足早に通り過ぎる。

しないって選択？　ないない。絶対にない。
だってなぁ、しなかった暁には‥牧野の説教２時間コースだぞ。

アレは、一度で充分だ‥

牧野‥マジウゼェ。
社会人としてきちんと挨拶しろ、ありがとう、ごめんなさいを言えから始まって、最後はメープルNYのロビーの真ん中で、両親をいいやご先祖様を敬えまで話が広がったんだぞ。


そんなに偉そうに言うんだったら‥お前自分の勤めてる会社の経営者一族ぐれぇ把握しとけよ。
NYを本拠地にしているDMJ‥確かに日本支社長は雇われ社長で、道明寺じゃねぇけどよ。

言うに事欠いて
「道明寺って、DMJの創始者一族と同じ名字だよね？やっぱり間違われちゃったりするの？」
ケラケラ笑いながら言い放ったのはお前ぐらいだぞ？

お前‥NY研修に来たぐらい、優秀なんだろうよ。
出世する為に、少しは情報収集とかして誰かに取り入るとかしろ。

まぁ、それがなんだか新鮮で、面白くて‥ババァにどこのポジションに行きたいかって問われた時に‥
売り上げガタ落ちを名目に、日本支社に行きたいと願い出たのは俺だけどよ‥

でも‥この女‥マジうざい。

なのになのに‥　エレーベーターの前で待っちまうのは何でだろうか？
いいや、専用エレベーター‥一人じゃもったいないからだ
〝エロだなエロ！‥‥‥っん？ちがうな　economy　エコだエコ‥ククッ流石にエロじゃ、やばいよな。こんなの牧野に聞かれた日には‥何を言われることか〟

《トヨヨッ　あぁ〜トヨヨッ》
牧野ひとり言モードが始まる。
「なぁ、そのトヨヨッってなんだ？」
《出た、海底人モード‥》
「出たじゃなくて、いつも言ってるけど、お前のひとり言だ。それ気をつけた方がいいぞ」
「はーーい」

はーーい　って‥ハッ？　マジかこの女‥すげぇ語尾伸ばして返事かよ？
こんなの俺が言った日には、説教コースに突入だろうによ‥
喉元まで出かかるが、薮から棒に突っ込めば、何が出るか解ったもんじゃねぇ。

それにしても、MJ中枢に位置する営業戦略部は、変人の巣窟だった。
IQも、EQも抜群の成績な筈なのに‥
テンション上げ上げ男に、ざまぁーす男、しゃなりしゃなりの雪女‥
いやいや、奴らだけじゃない‥他の奴らも大差ない‥

しかも‥コイツ等にとって、俺が　『誰か』　なんて事は、微塵も知ったこっちゃない。
使えるか、使えないかただそれだけの話なんだ。

まぁ、なんだな‥そんな変人ばかりの空間が‥
居心地が良い空間って奴でもあるんだよな。




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