バカ言ってるんじゃない 05 司つく
雪姫様の極上の微笑みを投げかけられる。
魔法にかかったように、ついつい頷きそうになって‥‥
慌てて首を、一振りする。
「たまたまです。たまたま出勤時間が重なるだけです」
「 たまたまも~ 回を重ねりゃ~ 運命だ 」
川柳さん‥いいや川久保さんが、
川柳を詠みながら、楽し気に部屋に入って来る。
「だね、だね」
「そうざまぁす」
「だから、ちがいますってば!」
「「「「「いやいやいや」」」」」
嬉し気に楽し気に皆が笑う。
毎朝のように繰り広げられる茶番劇‥
こんな時のあたしは、孤立無援状態だ。
唯一の味方の筈の道明寺‥
探してみれば、もう既に仕事に取りかかっている。
あたしの視線に気が付いたのか‥
こっちを向いて、ニヤリと口の端を上げた。
ヒュルリ‥半端ない敗北感に包まれる。
〝クゥッーー、ま、ま、負けた〟
もう既に、あたしをからかう事に飽きたメンバーも、三々五々に散らばって仕事に取りかかっている。
「フンッ」
鼻息荒くデスクに着けば、隣の男は嬉しそうに
「クククッ」
と声を出して笑う。
クゥッーーーー
悔しい気持ちは、おくびにも出さないように注意しながら‥
一矢報いる方法を考える。
〝うーーーん〟
「あらっ、いやーん。つくしちゃ~んったら、
眉間に皺が寄ってるわよ。
あなたの場合、愛嬌が取り柄なんだから、
取りあえず笑ってなさいな」
百瀬課長が、よく聞けば何となーく失礼な事を口にしながら、
ニッコリと微笑んでお茶を差し出して来る。
「はい、どうぞ」
「あっ、いつもすみません。って‥良い香り~」
「あらっ‥そう?うふふっ工スペシャル。
暑い夏をぶっとばせ~ティーよ。
この中にはね‥‥
パイナップルミント、ローズヒップ、レモングラス、ハイビスカスが含まれていてね、効能はね‥先ずは‥」
「あははっ‥百瀬課長‥あの‥とっても美味しいです」
「あらっ、ごめんなさ~い。
あっ、結花ちゃんが、また遊びに来てねって。うふっ」
「奥様がですか~?はい。喜んでお伺いします」
「あらそぁう?
じゃぁじゃぁ週末にでもいかが~
つくしちゃん暇っていってたわよね?」
「あっ、はい。宜しいんですがか?楽しみぃー」
なんて喜んでいたら
「うふっ、じゃぁ決まりね。
道明寺君もお暇?
だったら一緒にいらっしゃいな」
道明寺に向き直り、ウィンクしながら去って行く。
百瀬課長宅にお邪魔するのは嬉しい。
だけど、だけど‥休みの日まで‥コイツと一緒?
ってか、先週も先々週も‥
いいや気が付けば、大概の土日を一緒にいるような気がするんだけど‥
道明寺を見れば、鼻の頭を掻きながら、当たり前のように
「10時に地下車庫で集合なっ!!帰りはHINOKIに連れて行ってやるよ」
HINOKI? ギュルッ 心よりも何よりもあたしのお腹が反応して‥
「うん。10時にね。宜しく」
あたしのお腹バカ言ってんじゃないよぉー
そう激しく後悔したのは、後日の話。
この時のあたしは、HINOKIのことでヨダレたらたら状態だった。
恨むなら 己のお腹 恨みましょ
はい、詠みました!
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