月夜の人魚姫 01 総つく
唐突に、昔流行ったCMを思い出す。
うん。あったあった‥まぁなんだ俺の人生‥
擦った揉んだ‥だらけ?って奴か。
渇いた笑いを浮かべながら、重鎮共に差し出された女性週刊誌とやらを眺めている。
「若宗匠‥毎回、毎回‥おわかりでいらっしゃいますか?」
わかっちゃいるけどヤメれないって、な。
なーんて事を思いながらも俯き加減に
「皆さん‥いつもいつも本当に有り難う‥皆さんあっての俺だ‥なのに、俺がしっかりしないばかりに迷惑をかけて申し訳ない。これからは心を入れ替え精進させて頂くよ」
真摯なふりをしながら‥答える。
「若宗匠が、そうおっしゃるなら‥」
そう言い残し、重鎮共が去って行く。
ハァァーン 心を入れ替えるだぁ?
入れ替えるワケねぇだろうよ。
男 〝西門総二郎〟 当代きっての色事師って奴だ。
だがな‥俺だって、西門の家のため勧められるままに政略結婚を受け入れた。
愛する女との結婚? くくくっ、んな事は、夢物語だとわかった20代。
己の人生を受け入れた。妻は次期家元夫人と言う名のお飾りだ。
一度目の結婚は、跡取り誕生と周りが喜ぶ中、
月足らずで金髪紺碧の瞳をもった子供が生まれ、離縁した。
その後も降るように縁談が持ち込まれ、
西門最高顧問が持って来た二度目の縁談を了承した。
二度目の妻は、道ならぬ恋を選び愛の逃避行をした。
全くもって俺のせいじゃない。
そうさ、由緒正しい令嬢というだけで、
そんな女を連れて来た重鎮共がいけねぇんだ。
それも2度だぞ。2度!
だからあいつ等は、俺がどんだけ浮き名を流そうとも、あれ以上は強くは言えねぇ。
しかもだ‥世間的には俺のせいだということにする代わりに、西門への支援は続けるという約束まで取り付けた。
そんなこんなで、三度目の結婚を強く迫られる事は、ねぇってもんだ。
俺と離縁した元奥って奴も、幸せな生活を送ってる。
なんで知ってるかって? 風の便り?まぁそんなとこだ。
くくくっ‥じゃぁねぇよ
一番始めに結婚した相手は‥‥
『両親にばれたら堕胎させられてしまいます』
そう泣く女が不憫に思えて、世間の目を親の目を欺く為に、結婚を決めた。
相手の男と三人で、幸せな家庭が築けるように背中を押したのも実は、俺だったりする。
二度目の相手は、最高顧問からの紹介だが‥
実は、その前から相手の事は知っている。
一度目の相手から、事前に紹介されてたからな。
何の紹介かって? 道ならぬ恋の逃避行に一役買ってくれと頼まれたんだ。
って‥‥俺、お助け寺か?
くくくっ‥まぁなんだな。
あいつ等も、そして俺も自由を手に入れる為の相互援助って奴だ。
跡取り?
兄貴の所も、弟の所も、はたまた他の親族だっているから何とでもなるだろうよ。
俺は、平成の色事師なるものを極めさせていただくよ。
なんなら、平成のちゃらんぽらん男でも呼んでもらおうじゃないか!
次の更新は、火曜日0時
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♪♪♪
今日から始まる 〝月夜の人魚姫〟
何か読みたい話はないの?と、Yさんに、半ば強制的にリクを強奪し(笑)
〝強く美しいつくしちゃん〟が読みたいを頂きました。
なのに?一話目に、つくし出ず‥‥
さてさて‥この先のお話はどうなりますやら‥
ってか、リク通り書けるのだろうか?
が、が、頑張ります!
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