まめ太とヒメちゃん 夏の1ページ あきつく
「う〜ん」
力一杯、天に向かって手を挙げ、朝の空気を取り込む。
時計は、朝の7時を指している。
「まだ、ちょっと早いかな?」
昼前には、どうせいつものメンバーがやってきて賑やかな渦に包まれる。
もう一度‥眠りに舞い戻ろうと思った瞬間‥
「あーのの!」
大きな声に、現実に引き戻される。
「ダメ!こっちはれおんのでしょ?あーのにはもうあげたでしょ?」
「れおん、あーのに、どうぞっていったもん」
「れおんが言ったからって、ダメなのはダメ!」
「ママのバカ!」
「あーの、バカって言わないの」
ガチャリ‥ ドアが開いて、あーのが入って来る
「パパーーーー」
後ろから追い掛けるように、つくしも一緒に入って来て
「すぐに、パパに逃げ込まないの」
「パパ、ママが‥ダメっていうの‥れおんは、どうぞっていったのに‥」
あーのの、真っ黒な大きな瞳が下から俺を見上げる。
つくしに似た大きな瞳。吸い込まれそうだ。
イヤイヤイヤ‥吸い込まれちゃいけない。
慌てて視線を反らし、つくしを見上げれば、仁王立ちになりながら、首を左右に振っている。
「あーの、れおんは、何をどうぞって言ったのかな?」
質問には、答えないで
「れおん、どうぞしたんだよ?だったらあーののでしょ?」
困ってしまってワンワンワン‥そんなフレーズが頭の中を駆け巡り、もう一度つくしを伺い見れば
「コレよ、コレ」
つくしが手にしていたのは、夏のマンゴーデザート食べ放題チケットだった。
マンゴーデザート?そ、そ、そんなんもんで朝から喧嘩?俺の頭の中をぐるぐるとマンゴーが回ってる。
で、で、でもだ‥ここで〝マンゴーデザート?〟なんて迂闊な事を言ってみろ? 大変な騒ぎになるぞ。
もう一人欲しいね。なんて話していた事も‥お流れになるぞ。
いやいや、そればかりか、そんなこんなに目をつけた類が、俺の後釜を狙いだすぞ。
色々な思考が俺の中でグルグルと回る。
俺は、慌てて首を振る。
ここは、静観するに一票だとばかりに黙り込む‥
視線を感じ隣を見れば‥いつの間にやらやって来たまめ太が俺を見ている。
お互いに、目が合い苦笑する。
まめ太‥いいや、れおん 漢だ‥
「ママ、ごめんね。オレ‥あまいの‥あんますきくないから、あーのにおしつけちゃったんだ」
その言葉に、あーのは得意気に微笑む。勝利の微笑だ。
負けた感満載で、項垂れるつくし‥
「あっ、でも‥あーのに、そのままどうぞしたんじゃないんだよ。」
小首を傾げながら、つくしが、あーのが、れおんを見る。
「ママのつくった、ミルクプリンとこうかんなの」
つくしの作るミルクプリンは、あーのも、れおんも小ちゃな時から大好物だ。
普段は、あーのに何でも譲るれおんが、絶対に譲らないものの一つだ。
あーのが、一瞬 〝チィッ〟ていう顔をする。
コレはあれだな‥‥あーの何となーく‥約束なし崩し作戦だったんだろうな。
あーのの、〝チィッ〟顔と、れおんの蕩けるような眼差しに、気をよくしたのだろう。
心なしか穏やかな表情になりながら
「じゃぁ、あーの‥そのチケットでママと一緒に行きましょう」
なんて事を言っている。
〝えっ〟
そんな表情をしながら
「そしたら、1どしか いけないじゃん」
ブツブツとあーのが言いだした。
フフッフと、つくしが笑って、エプロンのポケットから取り出したのは、〝夏のひんやり和スイーツ食べ放題チケット〟だった。
「一枚は、このチケットと交換しない?」
「うん」
和スーイツのチケットですっかりご機嫌を直したあーのと声を合わせて
「「おさわがせしました」」
そう言い残して部屋を出て行った。
取り残される俺とまめ太。
「パパ、早く起きてプールの準備しなきゃだよ」
「プール?」
「うん。あのチケット‥メープルのたべほうだいだから」
あぁ‥そうか‥つくしとあーのが食べ放題を楽しむ間に‥プールで遊んでろパターンか。
リビングに行けば‥ニコニコ顔のあーのが、れおんの推測通り、大きな浮き輪を俺に手渡してくる。
「あきら‥宜しくね」
つくしに、満面の笑みで微笑まれて‥
午後からは、悠、海、蓮、奏、翔平 も加わって‥男どもはプールでお守り。
女達は、わいわいガヤガヤ‥食べ放題に繰り出した。
賑やかな賑やかな一日が過ぎて行く。
朝から他愛もない親子喧嘩で起こされようが
次の日、子守り疲れで気怠かろうが
あれも、それも、これも夏の日の楽しい思い出だ。
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