バカ言ってるんじゃない 11 司つく

「ぅうーん　美味しい。美味しいね道明寺」
「あぁ‥中々美味い」

へぇー親子丼とかいう食いもんは、不思議な味だが中々美味い。
っつぅーか、コイツと一緒に食う飯は中々美味い。
実は会社に秘密で、三ツ星レストラン覆面チェックマンのバイトでもしてんじゃねぇのか？ってぐらいに、美味い店を紹介してくる。

安い　早い　美味い　　３拍子揃ってるのがG１００らしく。
そんな店を見つけた日には、朝からワクワクしながら昼飯の時間を待ち構えてやがる。
で、この顔だ。
すげぇ美味そうに、大口開けて飯を食う。

「っん、どうした？あっ、一味いる？　はいっどうぞ」
「あっ、ワリィ」
「うーん　惜しいっ！　ワリィじゃなくて有り難うだと７８点くらいになるね」
ふむふむと頷きながら偉そうに俺を見て笑う。

小癪な牧野に、一味をかける。
ヤバッ　思いのほかにかかってしまった。怒られると思った次の瞬間‥
無言で俺の食べさしの親子丼と取り替えて
「食べ物は、粗末にしないようにね。粗末に扱うともったいないお化けがでてくるからね」
ニッコリと笑って、俺の食べてた親子丼を口に運んでいる。

突っ込みどころ満載だけど‥何も言えずに一味に彩られた親子丼を俺は食べる。
「ゲホッゲホッ」
むせ返る俺を見て、小癪な牧野は笑ってる。

「あぁーー美味しかった〜」
えらく満足げな牧野と対照的に、唇をひり付かせてる俺。
意識的には、タラコ唇って言うのか？それになってる感じだな。
タラコって物体は、何だかは皆目見当もつかないけどな。

あっ、そうだ‥そうだ
「なぁ、類に何の用があるんだ？」
「だから、ナイショの方向だってば」
「ナイショって、なんだよ。ナイショって」
「ナ、ナ、ナイショは、内緒に決まってるでしょ」
「ナイショ、ナイショ、牧野はナイショ星のナイショ星人って奴だな」
「ナイショ星人？なにそれ？もう、ボディパウダーつけるなとか、あんたは小姑かっ」
「はぁっーー？　人間が黄麻ジュートなワケねぇだろう」
「ジュートじゃなくて、小姑、こ・じゅ・う・と！！」

いつもの通り言い合いになって、類の事は分からず終い。
面白くねぇ。とことん面白くねぇ。

仕事帰り‥
〝　牧野、帰んぞ　〟
その一言が言えない俺を残して、牧野は前を歩く。
自由に気侭に楽し気に、牧野が前を歩いてる。
時に立ち止まり、空を見上げてる。

立ち止まる度に、見つからない様に俺も立ち止まる。

牧野がいつもと違う角を曲がる。俺は慌てて牧野の後を追い掛ける。
慌てて走った曲がり角には、仁王立ちの牧野が出迎えて
「ICE MONSTER のマンゴーかき氷食べに行くんでしょ」
「あぁ」
「あぁじゃないよ。約束したじゃん。もう、道明寺の奢りだからね」
「奢ってやるよ」
「やっぱ、いいや。いつもの通りに、ジャンケン勝負で決めよう！」

最初は、グー　ジャンケン


ジャンケンの声が、楽し気に谺する。



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