シーソーゲーム 49 類つく
つくしがゆみさんの家を去った翌日、
つくしからの手紙と、大きな笑顔を携えてゆみさんが橘にやってきた。
爺様に呼ばれ、橘を継ぐ覚悟が出来たかどうかを確認される。
一度心を壊した俺に両親を始め周りのものは、何もいわなかった。これ幸いとばかり‥ゆっくりとのんびりと人生を送ろうと決めていた
なのに‥‥自分の全てを変えてでも、欲しい女が現れた。
俺の中にこんな情熱があったなんて意外だ。
人生何が起きるかわからない。
まぁ、相手が妖精だから仕方ない。
あははっ だから人生面白いのかもしれない。
「流石、橙子さんと勇さんの息子さんね」
ゆみさんが、笑いながら肩を叩く。
「さて、花沢家には、親子2代で貸しが出来たからなぁ〜何で返してもらおうかしら?」
クスクスいたずらっ子のように笑う。
その表情が、つくしによく似ていて‥可笑しくなって思わず笑みが溢れる。
「くぅちゃんの事思い出した?うふふっ、どうやら似ているらしいのよねー」
俺の考えなどお見通しだとばかりに、クスリと笑う。
爺様と婆様が、嬉しそうに2人で頷きながら
「ゆみちゃんの所と縁続きになるなんて、本当に嬉しいもんじゃ」
「私こそ、徳ちゃん達と縁続きになれるなんて‥嬉しいです。
さぁてあとは、類君に頑張ってもらわなくっちゃね」
バシッ
大きな音を立て、背を叩かれる。
「痛っ、が、が、頑張ります」
ゆみさんの周りは、不思議な程に爽やかで人を包むような風が吹く。
「あらっ類君、そんなに私を見つめて‥うふふっ惚れてはダメよ」
そんな風に戯ける。
「あははっ、いや‥凄いなぁーーって」
「うふふっ、私ね‥‥」
そんな前置きの後に語ってくれたのが、父さんと居た時のゆみさんの話し。
「どっちかって言うと、どっちかって言わなくてもかな〜、こんなに人生は楽しんでなかったわ。貴史に出逢って私の人生は花開いたのよ。貴史に出逢った時、勇さんが橙子さんを選んでくれたのを心底感謝したわ」
グラスを傾けながら、飛っきりの笑顔で微笑んで言葉を続ける。
「だからね、柊君にもきっとそんな女性が現れる筈だと思っているのよ」
柊さんの気持ちを考えると何も言えなくなってしまう。
「あらあら、振られた側が惨めになるから罪悪感なんてもたないでいいの。だって、恋はズルイもんなんだから」
「恋は、ズルイ?」
「えぇ、恋ほどズルイものはないわ、だって、出会った順番も愛した年月も、そんなのは、全部なんの関係なくて、勝者になるか敗者になるかは、相手が自分と同じ様に自分を愛してくれるかどうかだけなんですもの。これをズルイと言わずに、何がズルイのって感じじゃない?」
クスクス笑ったあとに、真顔になって
「でもね、恋はズルいけど卑怯ではないの。ズルイけど、ううんズルイから真剣勝負なのよ」
恋はズルイから、シーソーゲーム
勝つか、負けるかのシーソーゲーム
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