明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

シーソーゲーム 50 類つく

あの日から、柊兄ぃと共に起き、共に眠る生活が続いている。
昼間は、SPかメイドの誰かしらが、柊兄ぃが帰って来るまであたしの元を離れない。

今日も一日が終わる。

「つくし‥おいで」
柊兄ぃの胸に抱かれ、朝まで眠るのだ。あたしに拒否権などある筈はない。

「小ちゃな時を思い出すね。
つくしがまだ小ちゃな時、こんな風に2人でお昼寝をよくしたよね。
つくしはね、俺がいなくなると直ぐに、ニィって呼んでね‥」

昔話を語りながら、柊兄ぃの指先があたしの髪を撫でる。
あたしは目を瞑り、柊兄ぃの声を聞く。

「つくし寝たの?」
遠のく意識の中で、柊兄ぃの掠れた声がしてパジャマのボタンが一つ一つ外される。
胸元に赤黒い花が咲く‥気が付かないふりをしてあたしはそれを受け止める。

愛せなくてごめんなさい心の中で謝りながら、
ゆっくりとゆっくりとあたしは、死んでゆくように眠りにつく。

柊兄ぃの寝息が聞こえる頃、あたしに絡み付く腕を外してベッドを抜け出す。
ほんの少しだけ窓を開けると、ひんやりとした風が吹き込んで頬を触っていく。

「冷たい‥‥」

背中から、ふわりっとストールが掛けられて、柊兄ぃが後ろから抱きしめる。

「つくし、冷えちゃうよ」
「あっ、うん‥」

肩を抱かれてベッドに戻り目を瞑る。

朝がやって来る。
シャワーを浴びて身支度を整える。

ゆみ叔母ちゃまから頂いた、夏みかんのアロマオイルを身に纏う。
「類、おはよう」
好きなひとの名を呼ぶだけで、幸せな気持ちに包まれる。

ズルイあたしは、柊兄ぃの元から自由になる日を、指折り数えながら待っている。
あと一週間を乗り切れればあたしは、自由になれる。

「‥くし‥つ‥つくし‥どうしたの?」

「あっ、ごめんなさい‥来週のこと考えてた。柊兄ぃも行くんだよね?」

「それは勿論だよ。だって俺達2人の事なんだよ」
優しい瞳で、あたしを見つめる。

この瞳を見る度に、あたしの心は痛くなる。
それなのに、なに食わぬ顔をしながら柊兄ぃを裏切ろうとしている。

「日本での仕事もあるから、
明後日にはこちらを出ようと思っているんだけど‥
つくしの都合はどうかな?」

願ってもない申し出に、あたしの心は浮き立ち笑顔が溢れる。

「いつでも行けるように準備してあるから大丈夫だよ」

「じゃぁ、悪いんだけど‥よろしくね」

「あっ、うん」



**

久しぶりの日本があたしを待ち受ける。
身体が、心が浮き足立っている。


「つくしは、如月に帰るよね?」

「いいの‥?」

「勿論だよ」

「柊兄ぃ、ありがとう」

「挨拶しに今日は寄らせて頂くけど‥
明日明後日は、仕事が詰まっててちょっといけないんだ。
ごめんね」


突然にそう告げられ‥
自然に出て来る笑いを止めるため、あたしは下を向き押し黙る。




月、火、木、金 12時更新

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♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
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5 Comments

asuhana  

たろささま

それでも好きは、なにを生むんでしょうかね?ムフッ

2016/08/04 (Thu) 19:41 | EDIT | REPLY |   

asu  

yukikoさま

この2日!気を抜かないようにしないとですよね~
頑張れつくし!

2016/08/04 (Thu) 19:15 | EDIT | REPLY |   

asu  

ノエノエさま

誰かに救って貰いたい。はい。せつに願います。
じゃないと、つくしも幸せになれないしね~

2016/08/04 (Thu) 19:09 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/04 (Thu) 17:44 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/04 (Thu) 13:45 | EDIT | REPLY |   

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