シーソーゲーム 53 類つく
優紀達と共に、楽しい時間を過ごす
「つくしもいよいよ婚約だね」
「そっかー早いよね。その前に親族会議だっけ?」
「あっ、うん‥」
「一番ねんねのつくしが、一番始めに人妻になるの?なんか可笑しいねー」
「ははっ そうだね」
「柊さんだったら間違いないよね」
「うん。そうだよねー つくしのこと大事にしてくれるもんね~つくしは幸せものね」
「ははっ…優紀も、滋もそろそろでしょ?」
「ウフッ…そうなるかな~」
「あっ、この前のリベンジに今晩、パジャマパーティーしない?」
「いいね。いいね。つくしどう?明日も自由なんでしょ?」
「あっ、うん‥柊兄ぃに聞いてみてからでも良いかな?」
「柊さんに?あっ、そっかー柊さん心配性だもんね」
何も知らない優紀がそう話す。
曖昧にあたしは頷きながら、席を外して電話を入れる。
RRR‥‥
「柊兄ぃ?忙しい所ゴメンね‥あのね‥優紀達と滋のお宅に、お泊まりしてもいいかな?」
「滋ちゃんのお宅に?勿論どうぞ、どうぞ。」
「ホント?ホントにいいの?ありがとう柊兄ぃ」
柊兄ぃのご機嫌の良さそうな声に安堵しながら、電話を切ろうとした瞬間‥
「滋ちゃんの邸なら、SPは、帰して構わないよ」
「あっ、うん‥でも‥いいの?」
「いいも何も、滋ちゃんのお家だけだろう?そこから出掛ける時に、連絡くれればいいから。その代わり滋ちゃんの邸を出る時は、必ず連絡入れてね」
「うん‥必ずいれるね」
「じゃあ、お利口さんにしているんだよ」
そう言われて電話が切れる。
束の間訪れた自由に心が浮き足立つ。
滋の用意してくれたパジャマで、リベンジパジャマパーティーが行われる。
沢山食べて、沢山飲んで、自由を感じて沢山楽しむ。
何か言いたそうな顔をしながら、あたしを見ていた桜子と目が合う。
横を見れば、優紀と滋は、既に舟をこぎ出している。
桜子と二人でバルコニーに出て、夜風にあたりながら話す。
「先輩、宜しいのですか?」
「あのね‥」
あたしは、桜子にざっとかいつまんで今までの経緯を話す。
「そうですか。そんな事がおありでしたのね」
そう言いながら、グラスを傾けた後に
「先輩、ならお会いに行かれたらどうです?」
「えっ?」
「警護のものは、お帰しになられたんですよね?」
「あっ、うん」
「だったら。1時間だけでも如何ですか?」
心が浮き足立っている。
口にしたアルコールが、久方ぶりの自由が、あたしを大胆にしていた。
「大丈夫かな?」
そんな事を口にしながらも、あたしの気持ちはもう決まっていた。
「ちょっと電話してくるね」
足早にその場を離れ、電話をかける。
ワンコールで類が出る。
「つくし?」
愛おしい人の声が聞こえて、あたしは慌てて話す。
「会いに行ってもいい?」
そう聞くあたしに、類は一瞬‥躊躇した。
なのに、あたしは押し切った。
「類、会いたい‥」
夏みかんの香りを漂わせて、桜子のうちの車に乗り込んだ。
刹那‥
スマホが鳴り響く。
画面には柊兄ぃの名が刻まれている。
慌てて画面をタップする。
スマホの向こうからは柊兄ぃの声
「つくし」
「あっ、うん。ど、うしたの?」
「っん?少しつくしの声が聞きたくなっただけ。迷惑だった?」
「‥ううん。あたしも柊兄ぃどうしてるかな?って思ってたところだよ」
あたしの舌は、嘘を吐く。抜けぬけと嘘を吐く。
「だったら良かった。
そうそう、さっきまで如月のお爺様と一之宮のお爺様達と飲んでいたんだよ」
「あはっ そうなんだ」
「うん。他にもいらしてね、中々凄いメンバーだったよ。
つくしに宜しくって言ってたよ。それでね……」
「‥柊兄ぃ‥少し酔ってる?」
「あぁ、嬉しくてついつい興奮しちゃったよ。悪い、一人で話してたね」
「あ、ううん‥いま丁度お風呂から出て髪の毛を乾かすところだったから」
「じゃぁ湯冷めすると大変だから、切るね」
「あっ、うん。ゴメンね。今度ゆっくりお話聞かせてね。じゃぁお休みなさい」
「あぁ、ゆっくり話すよ。じゃぁまたね」
優しく笑う声がして、スマホが切られる。
「ふぅっー 驚いた‥」
鼓動がドクドクと音を立てている。
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